鹿児島県奄美の加計呂麻島にある「上田製糖場」。さざ波が聞こえ、潮風の届くこの場所で4ヶ月間だけ「琥珀糖」がつくられる。甘い香りとともに、小さな煙突から煙がたてば、自然と島人達が集まってきて「上田さん、10kgちょうだい!」と大量注文。自分用と親戚へのおすそわけ用なのだとか。「みんな喜んでくれるからさ」と島人が自慢げに教えてくれた。 |
自然に育てる。 自然が育てる。 |
夏台風は根を強くさせ、奄美の太陽が逞しいサトウキビを育てあげる。ここでは農薬は使わない。大量生産もしない。栄養をたっぷり溜め込んだ強健なサトウキビができた頃、一本一本、鎌で刈る。地道な作業だが、それが良質の琥珀糖をつくる一番の近道だという。 |
加計呂麻島の 変わらぬ風景。 |
三つの釜できび汁を丹念に煮込む。時計も温度計もない。先代と二代目が泡の表情から撹拌の時を見極めている。この時期は、漁師も美容師も近所のおばあちゃんも重要な働き手だ。四百年前から変わらぬ加計呂麻島の風景として、ともに琥珀糖づくりを守っている。 |